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2019.2.14

法務情報

<中小企業の海外展開>進出形態の検討のイントロダクション

イントロダクション

本号と次号では、前号で説明したNDA(Non-DisclosureAgreement)/MOU (Memorandum of Understanding)の締結等の段階の次に、具体的にどのような形で海外進出を行うかという段階において検討すべき2つの方法について説明したいと思います。

 

<中小企業の海外展開>進出形態の検討のイントロダクション①

 

 

海外展開を考えるメーカーの場合、進出の方法には大きく2つの方法があります。

 

1つは売買契約を基本とする商流を通じて海外マーケットに進出していく方法です(本号で説明)。

 

もう1つは、ライセンス契約を基本として、現地で商品を生産し、現地での販売を通じて、一定のロイヤリティを収益としてあげていく方法(次号で説明)となります。

 

 

<中小企業の海外展開>進出形態の検討のイントロダクション②

 

売買契約を基本とする手法について

売買を基本とする手法の長所及び短所はどこにあるのでしょうか。

 

ライセンス契約を基本とする手法と比較して見てみましょう。

 

最初の比較の項目は海外への技術流出のリスクの高低です。

 

ライセンス契約を締結する場合は、そのスキームとして、信頼できる生産ラインを有している海外企業に、自社の技術を開示し、当該海外企業に自社製品を製造してもらうことを想定しています。

 

そのため、ライセンス契約を通じて、自社のノウハウや技術が第三者に漏洩するリスクは避けられません。

 

当然、そのようなライセンス契約には秘密保持条項や競業避止に係る規定が置かれますが、現に技術流出が疑われる事態が生じた場合や、当該海外企業がM&Aなどを理由に他社の傘下に入った場合など、どうしてもリスクが残ってしまいます。

 

このような背景もあり、自社の中核技術が使われている製品についてライセンスを基本とする形態で海外に進出させる場合は、当該中核技術のみでも売買形態を採ることが少なくありません。

 

この場合は、模倣されてもやむを得ない箇所をライセンス契約にて現地生産し、中核技術に係る部品等を自社で生産した後に、現地にて組み立てるということになります。

 

次の比較の項目は、製造ラインのコストです。

 

これは、ライセンス形態の場合であれば自社で製造ラインを持つ必要がなく、製造コストを負担することはないという大きな利点を生むことが出来るというものです。

 

その一方で、売買を基本とする形態の場合は、自社にて製造を行うことがベースとなるため製造コストや製造ラインの負担が大きく、経営者としては頭を悩ませるポイントかと思われます。

 

特に、特定の国や地域に絞った仕様を製品に施し、国内を含む他の国や地域への転用が利かない場合は、よりコストが大きくなると思われます。

 

<中小企業の海外展開>進出形態の検討のイントロダクション③

 

 

売買契約ベースの場合のポイント

売買契約を基本としながら商流を作り上げていく場合には、更に⑴仲介業者(Agency)を介在させ直接海外のマーケットに進出する方法⑵サプライチェーン上で代理店(Distributor)を介在させる方法が考えられます。

 

主要なポイントは以下の2つです。

 

①商品価格

 

代理店(Distributor)を通じた海外展開を行う場合は、メーカーと代理店の間、そして代理店とエンドユーザーとの間に少なくとも2本の売買契約が締結されることになります。仲介業者(Agency)の場合は、メーカーとエンドユーザーとの間に1本の売買契約が締結されることになります。

 

そのため、代理店方式の場合、製品の最終的な価格の設定は代理店が行います。

 

代理店は当然在庫コストを回避したいインセンティブを持ちますから、場合によっては自社が想定していたよりも相当低い価格で製品が市場に出回る可能性があります。

 

特に代理店を複数設定する場合などは、価格競争による値崩れやブランドの毀損等を引き起こす可能性も考えられます。

 

このような事柄に関連して、独占的な代理店契約条項、最低購入数量の保証条項、販売エリアを限定する条項などが置かれたりするのです。

 

他方で、仲介方式の場合であれば、価格設定は自社とユーザーとの交渉になるため、このようなリスクはあまり生じません。

 

②在庫リスクや品質管理

 

代理店方式の場合、製品は代理店に引き渡され、エンドユーザーに製品が渡るまでの間、自社にて保管(品質管理)しておく必要はなくなります。

 

そのため、このような保管コストを回避することが出来るという点は代理店の利点の一つとなります。

 

最低購入数量の条項がある場合は、計画的に生産をコントロールすることもできます。

 

他方で、仲介方式の場合は、通常自社にて製品を保管することになり、生産はしたが、売れ残った場合は、自社にてそのコストを負担するということになります。

 

③契約責任の相手方

 

代理店方式と仲介方式の違いは売買契約の本数にあります。

 

このような関係から、自社の契約の相手方については、前者の場合は代理店ですが、後者の場合はエンドユーザーということになります。

 

その結果、代金回収リスクや、品質保証の内容といった責任関係が誰との間で生じるかということに違いが生じます。

 

検討に際しては、代理店方式の方が契約本数をまとめることができ、契約管理コストや代金回収管理を削減できるかどうか、といったことを議論していくことになりそうです。

 

 

<中小企業の海外展開>進出形態の検討のイントロダクション④

 

-つづく。
(つづきはしばらくお待ちください。)
弁護士 原 智輝


<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2018年11月号(vol.226)>
*本記事は2018年9月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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