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2018.10.30

法務情報

旅館業法改正-上乗せ条例は「法律の範囲内」といえるのか?(その2)

旅館業法改正‐上乗せ条例は「法律の範囲内」といえるのか?(その1)では、旅館業法改正、施行令改正により、少ない客室数のホテル・旅館の営業ができる可能性が出てきた、ということについて説明しました。

そして、このような営業方法については、不動産業の皆さんに期待されているものの、東京都内をはじめとして、上乗せ条例により困難となりうるのではないか、という説明をしました。
今回は、その「上乗せ条例」について説明をします。

 

 

「上乗せ条例」というのは、法律や施行令で定まったルールを超えて、地方公共団体などが条例により、さらにルールを厳しく「上乗せ」することを指します。

国が作る法律、政府が作る政令に対し、地方公共団体がその地域の実情に照らして、条例を制定することができます。

これは憲法94条に以下のとおり定められています。

 

 

憲法第九十四条

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

 

一般的に、外国人観光客の増加や多様な宿泊施設の選択肢を提供するという観点から、国は、規制緩和の方向で進んでいるといえます。

今回の旅館業法改正及び施行令改正もその枠内にあります。

国は、外国人観光客を増やしたい。

 

 

これに対して、地方自治体の立場からすると、外国人観光客が身近に増えるということについては、地域住民から不安の声が出てくることも少なくありません。

また、地元の旅館業からすると、旅館業や民泊新法による規制緩和は、競争激化の側面もあり、緩和して欲しくないと言う声も出てきます。
つまり、総論として、
日本に外国人観光客が増えて経済が活性化することについては賛成するが、各論として、自分の身近なところに外国人観光客が増えてくることについては不安がある、という状況が少なくありません。

その結果として、国は規制緩和をするが、地方公共団体は条例で規制するという状況が生じるのです。

 

 

この点は、2016年、フロント設置要件が緩和された際に、その施行に伴い各自治体がフロント設置義務を課す条例を制定したようなケースが典型です。

国は緩和、地方自治体は規制です。

 

 

この傾向は、今回の旅館業法改正でも同様です。

都内の各自治体では、条例により「営業従事者が常駐できるための設備を設けること」「営業従事者が施設内で常時宿泊者を確認できること」などの上乗せルールを課すことを予定しているようです。

この常駐要件というものがハードルが高い。

せっかく一部屋単位でのホテル・旅館業が認められたとしても、その施設内に、従業者が常駐しなければならないとなると、現実的には、運営は不可能となります。

なぜなら、1室のホテル・旅館のために常時一人の従業員を貼り付けておくわけにはいかないからです。

 

ということで、旅館業法の規制が緩和されたとしても、このように上乗せ条例により、常駐要件を課せられてしまっては事実上、緩和された意味がない、ということになります。

弁護士 法律事務所 民泊 マンスリー 賃貸管理 旅館業法 顧問

 

 

私の方で顧問対応させて頂いているような会社でも、旅館業法緩和に併せて新たなビジネスチャンスとして取り組みを進めながらも、上乗せ条例の問題で対応に苦労されている方も少なくありません。

 

このように上乗せ条例が問題となるのですが、ここで疑問が生じます。

法改正の趣旨というか、価値を大きく損なってしまうような条例が許されるのかどうか、という問題です。

 

 

-その3へつづく。
(その3はしばらくお待ちください。)
弁護士:大橋

 

*本記事は2018年5月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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