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2018.9.28

法務情報

旅館業法改正-上乗せ条例は「法律の範囲内」といえるのか?(その1)

2017年12月8日に改正旅館業法が成立し、それに伴い旅館業法施行令なども改正され、2018年6月15日より施行されました。

大きな改正点の中には、

▶︎ホテル業と旅館業との区別をなくして、ホテル・旅館業としたこと
▶︎それまでのホテル○室、旅館○室必要というの客室制限をなくしたこと

があります。

すなわち、従来であれば、一定の件数がなければホテル・旅館業を展開することができなかったところ、今回の法改正により、1室からでもホテル・旅館業を営むことができることになりました。
このような話をセミナーですると、よく不動産業の方から、

 

「いや、一室で旅館業やホテル業ができるといっても、50室くらいはないと、ホテル・旅館業は採算が取れないですよ」


と言われます。
仰るとおりで、ホテル・旅館業では、フロントと従業員の施設内常駐要件があり、その人件費を考えると一室では難しいと言われています。それに加えて、小規模な施設で旅館業を行おうとすると、これまで簡易宿所などでよく問題となっていた、いわゆるトイレの設置個数の問題も生じます。

ですが、今回の法改正では、それに加えて、フロント等の要件もトイレ要件も緩和されました。(玄関帳場等の基準の緩和)
フロント設置については、「厚生労働省令で定める基準を満たす設備(ビデオカメラによる顔認証による本人確認機能等のICT設備を想定)を、玄関帳場等に代替する機能を有する設備として認めることとする。」とされ、ICT設備により、現実に常駐していなくてもフロント機能を果たすことで代替できる可能性が生まれました。
これまで簡易宿所などでハードルになっていたトイレ要件についても「適当な数の便所を用意すればよいこととする。」として、これまでのように各階のトイレをいくつ設置、という具体的な個数制限があったものが「適当な」という抽象的な要件に緩和されました。
「旅館業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」について(概要)より引用

これにより、いわゆる管理事務所型(ハブ型)により、一部屋だけのホテル・旅館ができる可能性が広がりました。
つまり、各施設には管理人等が常駐していなくても、近くに(10分以内に駆けつけられる、など)、管理事務所のようなものを作り、そこから駆けつける体制を整える、このようにして、数部屋のホテル・旅館を複数設置し、中央に管理事務所を作ってフロント的機能を持たせることで、小型の旅館を点在させても収益化の可能性が生まれるようになりました。

その結果により、比較的小規模の物件を集中的に仕入れ、中央に管理事務所を置くことにより、旅館・ホテル営業を拡大しようという動きが見られました。法改正の趣旨としては、このような動きにより、宿泊施設を拡充することを目的としていたと思われますので、まさに期待したとおり、といったところでしょうか。
しかしながら、実際には、特に、東京都内では、この小型の旅館を管理事務所型で運営するということにハードルがあり、かならずしも上手くいかないケースもあるようです。
それが「上乗せ条例」の問題です。

-その2へつづく。
弁護士:大橋
*本記事は2018年5月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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